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「視覚障害者のための情報提供委員会」参加報告

いわゆる経絡治療を行っている鍼灸の研修会は地域限定のものを含めると実に多くが存在しているのですけど、これらの組織が賛助団体として集まり日本伝統鍼灸学会を組織しています。広報部の中には「視覚障害者のための情報提供委員会」という委員会が存在しています。文字通り学会参加時の点字プログラムを作成するなど、視覚障害者が在籍している賛助団体から委員を出して勉学支援を自ら行っています。インターネットや音声パソコンがなかった時代にはカセットテープの録音か点字資料しかなく、資料準備が大変だったからです。
しかし、近年は学会誌はテキストファイルで瞬時に配布できるようになるなど利便性が向上しているので、やや委員会の存在意義が薄れてきている感じもします。そこで研修会の垣根を越えて集まっている特殊な存在ですから、この委員会から提言していけるものはないかという話が持ち上がり、何度かの討議を重ねて実技交流を継続的に行っていこうということになりました。
7月29日に今年度一回目の連絡会があり、次回から本格的に実技交流を進めるための下地となる講演を最初に提言した私が指名されたので、「脈診の議論をどのようにかみ合わせていくべきか」のタイトルで話をさせてもらいました。続いて活動会議があり、学術大会の録音だけでも公式収録をして欲しいと前回に委員会で出された要望から今年の大阪大会はビデオ収録を業者発注したという報告があり、点字プログラムや抄録の音声デイジーの製作など準備について確認をしました。また取穴の実技交流も、時間が限られていましたが行ってきました。

以下は講演内容のレジメです。橈骨形状突起の部分だけ、本文を収録してあります

1.はじめに
2.鍼灸は村言葉だらけ
2.1 0.1寸という表現
2.2 連線という表現
2.3 脉診をするときのあの突起は何という?
そして一番驚いたのが、脈診をするときに基準としている関上の高さと同一になる橈骨のあの突起の名称です。「まず橈骨形状突起に指を当て・・・」とほとんどの研修会で手順を説明してきたのでしょうし、私も30年以上もそのように覚えていて技術指導の時に疑問を投げられることが時々あっても半ば強引に繰り返してきました。
ところが標準経穴の部位を読んでいくと、大腸経の陽谿はタバコ窩(橈骨小窩)にあるとされるのはわかるのですが、橈骨形状突起の先端だともあります。「えっ!!橈骨先端の米粒のような突起が解剖学での橈骨形状突起だったの?」ということで、検証作業をしていたその場にある解剖関連の書籍はすぐ全部調べましたし、帰宅して盲学校時代の点字の強化しょをを引っ張り出してきても橈骨形状突起は橈骨先端の米粒のような突起だと確かに書いてありました。「腰を抜かすほどびっくりした」という表現が、大当たりの出来事でした。
そして関上と同じ高さになるあの突起は、腕橈骨筋が収縮するときに引っ張られるので隆起しているだけのため、解剖学的意味がないため名称が付与されていないということもわかりました。またまた腰を抜かしてしまいましたし、もう笑うしかなかったです。
なんということでしょう、解剖での名称がないためにそれらしきものを勝手に代用していたようです。しかも経絡治療が戦後の中医学の基礎に使われたため中国や韓国でも間違った用い方をされているケースが多く、その癖が色濃いためか公式英文を作成したときに再び橈骨形状突起の表現が用いられてしまい日本語化したときの注釈で間違いが指摘されています。それなのに最新の「新版東洋医学概論」での脈診の解説で、またまた指を当てる突起のことを橈骨形状突起だと書かれてありますから、相当に根深い間違いです。
まずは橈骨形状突起の正しい解剖学を普及させていくことが、西洋医学などほかの医学とも対話をしていくための条件ではないでしょうか。ちなみに漢方鍼医会では解剖学での名称がないので、「橈骨下端の骨隆起」と便宜上の呼び方を定めました。

3. 脈診は日本鍼灸がおそらく一番
3.1 虚実について
3.2 浮沈について
3.3 遅数から話を始める
4. 今回のまとめ
日本鍼灸は多様性が特徴なのですから、各流派をまとめ直そうというのではなく、話のできる土俵を実技面でも作っていこうというのが今回の取り組みです。お互いにまず尊敬し、いい技術の交換と向上を目指していきましょう。

 

報告:二木清文

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